行政書士のこれから

官公署へ提出する書類は、一昔前と比べて、かなり簡略化しています。書類の書き方についても、インターネットサイト上に親切な説明を載せている官公署が多く、一般の人でも、さほどの困難を伴わず、許認可申請書などが作成できるようになっています。

また、今や一人が一台パソコンを所有する時代であり、ワードなどのソフトを使って、見栄えのよい書類が自宅で作成できる時代になりました。

更に、インターネット上には、法律書類のひな型があふれ、それを上手く使えば、内容証明の文面も、各種の契約書も、一定レベルのものを作ることができます。

こうした現状をみると、「行政書士の仕事はどんどん減っていく」「行政書士なんて、そのうち要らなくなるんじゃないか?」と思う人もいるかもしれません。確かに、書類作成の事務仕事だけをしている行政書士には、厳しい時代になったと言えるでしょう。

しかしそれでも、世の中に数多くの行政書士が活躍しているのは、そうした行政書士が、仕事を依頼されるだけの何かを持っているからに他なりません。

優秀な行政書士が共通して身に着けている「何か」は、コミュニケーション能力、コンサルティング能力であるような感があります。そして、この能力に長けている行政書士は、大抵の場合、書類作成能力も高いのではないかと思われます。

なぜなら、クライアントの依頼により書類の作成をするには、まずその人の要望を正しくくみ取ることが必要だからです。それには、相手から話を聞きだす能力、自分を信頼させ、相手に話をしてもらう能力が要ります。

そうして聞き出した話の内容を、作成書類に反映させるのですから、完成した書類は適確な内容になっていることが多いのです。

これは、許認可申請や契約書、内容証明郵便の作成など、従来からある行政書士業務でも、著作権関連や成年後見関連など、近年注目され始めた行政書士業務でも、同じです。

実際に、何らかの専門分野を持ち、そのコンサルタントとして活躍する行政書士も増加しています。これからも、こうした傾向が続いていくでしょう。

そうした意味で、行政書士の仕事は、もの言わぬ書類が相手ではなく、クライアントという人間が相手である仕事だと言えます。