行政書士に作ることができる書類は、大きく分ければ3種類、「官公署に提出する書類」、「権利義務に関する書類」、「事実証明に関する書類」であると、前のページでご説明しました。
そして、書類を作成するだけでなく、官公署に提出する書類の提出代理業務もすることができます。また、権利義務や事実証明に関する書類については、代理人として作成できるものもあります。
さて、代理人として書類作成をする場合、書面作成代理人として、行政書士の名前を書類に記すことになります。
内容証明
内容証明の例を挙げてみましょう。
AさんがBさんにお金を貸したけれど、返済期日に返してくれなかったとします。AさんはBさんに、「返済してよ」と、何度も言っているのに聞き入れてもらえなくて困り果て、行政書士のCに、返済を促す内容証明を出してくれと依頼しました。
行政書士Cは、この依頼を受け、Aさんに、内相証明とはどのようなもので、どのような効果があるかなどについて説明し、質問を受け、業務を開始しました。
さて、このとき、内容証明の作り方は2種類あります。Aさんの名前で、行政書士Cが(自分の名前は出さずに)内容証明を作成する方法と、書類作成者として行政書士Cの名前を出して、内容証明を作成する方法です。
後者が、「代理人として」の書類作成になります。通常は、同じ書類を作成しても、代理人としての作成の方が、料金が高くなります。それでも、「行政書士C」の署名があり、職印の押印もありますから、相手へのインパクトは確かに強いと思われます。
代理行為
ただし、行政書士ができるのは、ここまでです。行政書士にできる仕事は、現実に存在するAさんの権利を主張する書類を作成するだけであって、お金を返してくれないBさんとの交渉はできません。なぜなら、相手との交渉は代理行為だからです。代理行為をしてしまうと、弁護士法に抵触し、罰則の対象となります。
このように、行政書士の仕事は幅広い一方、他の法律で制限されていることについては、踏み込めないことになっています。
では、行政書士業務では、どのような制限があるのでしょうか?次のページでは、そうした「他の法律の制限」について、みていきましょう。